上を向いただけで、気分が変わった話
頭の中ばかり、変えようとしていた
しばらくの間、私は「思考を変えれば人生が変わる」と信じていました。
マインドセット系の本を読みあさって、引き寄せの法則を試して、ポジティブな言葉を口癖にしようとして。毎日なにかしら「頭の中」を変えようと努力していました。
でも、どこか変わりきれない感じが残っていました。知識は増えるのに、気分がついてこない。そんなもどかしさがずっとありました。
身体が、置き去りだった
ある日ふと気づいたんです。自分が一日のほとんどを、下を向いて過ごしていることに。
スマホを見るとき、パソコンに向かうとき、考え事をするとき。気づけばいつも視線が床に向いていました。現代人の姿勢ってそういうものだと思っていたし、それが気持ちと関係しているなんて、考えたこともなかった。
思考を変えようとする一方で、身体はずっと「うつむいた状態」のまま。頭だけ前向きにしようとしていたけれど、身体はそれについてきていなかったんです。
ただ、少し上を向いてみた
難しいことはなにもしていません。本当に、それだけのことです。
椅子に座ったまま、すっと視線を上げてみました。天井ではなく、水平線より少し上あたり。胸が開いて、肩が自然に後ろに引かれる感覚がありました。
それだけです。特別な呼吸法でも、ストレッチでも、瞑想でもない。ただ、上を向いた。
気分が、明るくなった
すると不思議なことに、少しだけ気持ちが軽くなりました。
「前向きに考えよう」と意識したわけではないのに、なぜか前向きな気持ちが自然とやってきた。頭で変えようとしなくても、身体が変わると気持ちがついてくる——そのことを、じわじわと実感した瞬間でした。
それからというもの、気分が下がってきたときにまず確認するのは「今、自分は上を向いているか」ということです。思考より先に、身体に聞くようになりました。
呼吸は、身体の状態の結果だった
あとから知ったのですが、姿勢と呼吸は深くつながっています。
上を向くと、胸郭が開いて横隔膜が動きやすくなる。呼吸が自然と深くなる。深い呼吸は、神経系を落ち着かせ、気分を安定させる。「内側から変わる」というのは、呼吸や神経系レベルでの変化のことだったんです。
マインドセットを変えることを否定したいわけじゃないです。でも、身体が整ってはじめて、思考も変わりやすくなる。そのことに、もっと早く気づいていたらよかったと思っています。
上を向くだけでいい。今日から試せる、たったそれだけのことです。