Lifestyle
鏡の前で、自分に声をかけるようにした。
昔は、鏡が好きじゃなかった。
映るたびに、思っていた。
もっとこうだったらいいのに、と。
目元、肌、輪郭。
気になるところばかりに目がいった。
鏡は、自分の足りないところを確認する場所だった。
だから、なるべく見ないようにしていた。
いつからか、変えてみた。
朝、鏡の前に立つたびに
「おはよう」と声をかける。
夜、洗顔を終えたら
「今日もお疲れ様」と言う。
最初は少し照れくさかった。
自分に話しかけるなんて、変かな、と思った。
でも続けた。
ただそれだけのことを、毎日続けた。
しばらくして、気づいた。
肌が、綺麗になってきた。
スキンケアは何も変えていない。
使っているものも、順番も、同じ。
新しいものを試したわけでもない。
変わったのは、鏡の前での言葉だけだった。
自分に向ける言葉が、
内側から何かを動かしているのかもしれない。
批判じゃなくて、ねぎらい。
比較じゃなくて、ただの挨拶。
毎日顔を合わせる自分に、
ちゃんと声をかける。
それが、どんな美容液よりも
深いところに届いていたのかもしれない。
鏡は、足りないものを見る場所じゃなかった。
今日も生きている自分を、
ちゃんと迎えてあげる場所だったんだと、今は思う。
今も続けている。
完璧じゃなくていい。
うまく言えない日もある。
それでも、鏡の前で
自分の目を見て、声をかける。
その小さな習慣が、
今の私をつくっている気がする。
―The Inner Luxe―