ネガティブな気持ちを、消そうとするのをやめた。
ずっと、消そうとしていた。
不安が来たら、打ち消す。
悲しみが顔を出したら、目を逸らす。
焦りが湧いたら、「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせる。
それがポジティブでいるということだと、
どこかで信じていた。
でも苦しかった。
消しても消しても、また出てくる。
まるでモグラ叩きみたいに、次々と。
疲れ果てた頃、ふと思った。
消そうとするから、苦しいのかもしれない。
試しに、やめてみた。
不安が来たら、「ああ、来たな」とだけ思う。
悲しみが波のように押し寄せたら、
そこに座ったまま、波に揺られる。
焦りを感じたら、その焦りをじっと見つめる。
逃げない。でも溺れようとも思わない。
ただ、そこにある、と認める。
最初は怖かった。
感じたら、もっと深みにはまるんじゃないかと思っていた。
けれど、そうじゃなかった。
感じ切ると、すっと抜けていく。
嵐が来て、去っていくみたいに。
気づいたのは、
感情には行き先がある、ということ。
ちゃんと感じてもらえたとき、
感情は自分の役割を終えて、静かに引いていく。
無視されたとき、
感情はどこにも行けなくて、ずっとそこに残り続ける。
消そうとしていたのは、
ある意味、感情を閉じ込めていたことだった。
今は、ネガティブな気持ちが来ても、
前ほど構えない。
「また来たか」くらいの感覚。
怖い客人ではなく、
ちょっと扱いに困る来客、くらいの距離感。
感じて、受け取って、見送る。
そうすると不思議なことに、
ニュートラルな場所に戻ってこられる。
静かな、何でもない、ただ在るだけの場所に。
そこが、私にとっての「楽」の正体だったのかもしれない。
感情に、良いも悪いもない。
嬉しいも、悲しいも、不安も、怒りも、ただの信号。
体が、心が、何かを伝えようとしているだけ。
それを否定することは、
自分の一部を否定することだった。
受け取ること。
裁かずに、ただ受け取ること。
それだけで、こんなに楽になるとは思っていなかった。
完璧にできているわけじゃない。
今でも、つい消そうとする自分がいる。
でも、気づいたらまた戻る。
「ああ、感じていなかったな」と思って、
もう一度、そこに向き合う。
繰り返しながら、少しずつ。
自分の感情と、仲良くなっていく途中。
まだまだ、途中。
―The Inner Luxe―